チームの分析
白キャップのオーストラリアは、予選1次リーグを首位で通過し、同3位の日本を相手にやや油断があったかもしれない。総合力では、日本を上回るオーストラリアだが、日本の奇襲作戦に翻弄され、攻守ともいつものオーストラリアらしさが出せなかった。
青キャップの日本は、強豪オーストラリアを相手に思い切った戦術を展開した。攻撃では敢えてフローターを置かず、プレーヤー全員がカットインを繰り返しながら、何とか退水を取ろうという作戦。この作戦が功を奏し、分厚いオーストラリアのディフェンスの壁を機動力でぶち破って、チャンスを数々作った。またディフェンス面では、新しく取り入れたディフェンス形態をこの大試合で作用した。通常のゾーンディフェンスをやや変形させたものであるが、これがうまく機能し、オーストラリアの攻撃をうまくかわした。
個人の能力の分析
白キャップオーストラリアのNo.2マースデンは、不調に終わったエースの代役を務め、3点を上げる活躍をした。
青キャップの日本のNo.1水谷選手は、外国人キーパーと比べると体力的なハンディは、明らかである。しかしその水谷が今日ほど大きく見えたことはない。オーストラリアのミドルシュートをことごとく止め、まさに日本チームの守護神としての役割を十分に果たした。62%という非常に高いセイビング率が今日の活躍を物語っている。同じくNo.13佐藤選手も今日の大殊勲の立役者と言える。巨漢のオーストラリア選手に果敢にカットインを試み、計3つのメジャーファウルを奪った上、自らも同点に追いつくペナルティシュートを決める活躍をした。
競技上の観点
白キャップのオーストラリアは、日本の先制パンチを喰らい、浮き足立ってしまった。第3ピリオドにいったんは逆転したが、再び最終ピリオドに追いつかれ、オーストラリアには痛い引き分けとなった。
青キャップの日本は、総合力で上回るオーストラリアに対して引き分ける大殊勲を上げた。勝因は、新しいディフェンス体型を取り入れるなど日本の積極的な姿勢にあると思われる。また、攻撃に関しても、オーストラリアの裏をつく作戦を展開し、試合開始後3連続得点を上げるなど、今日の日本チームには神風が吹いたと言える。日本チームの実力は確実に上がっていることを満員の観客の前で示したわけであるので、明日以降益々の健闘を祈りたい。